2012年1月28日土曜日

裁判長!ここは懲役4年でどうすか THE STAGE


友人から誘われて、全労済ホール スペースゼロで行われているお芝居『裁判長!ここは懲役4年でどうすか THE STAGE』を観てきた。

北尾トロさんの原作は未読、マンガの方も読んだことはない。ただ裁判傍聴ものとしては、こんなマンガを読んでいたし、TBSラジオ「ストリーム」(小島慶子キラキラの前番組)の阿蘇山大噴火さんのコーナーは楽しく聞いていた。


さてお芝居のほうだが、舞台があってそこでお芝居をし、観客は客席から眺めるといういわゆる観劇のスタイルではなく、法廷を模した円形のセットを三方から客席が囲むスタイルの舞台装置となっていた。

役者の人は、セットの奥だけでなく、観客席の後ろ側や入り口といろいろなところから登場する。芝居の空間と客席が地続きになっているのだ。これが役者の芝居を観るだけでなく、自分もまた傍聴人として法廷を覗いている感覚を抱かせる仕掛けとなっている。

お芝居の縦軸は、裁判傍聴にはじめてやってきた若い男女のかけあい。女の子は検事役の役づくり、男の子は女の子に好意を抱いているけど奥手な性格。ガイド本をもってきたり、ネットで下調べをしてきたりしている。

物語は、2人と裁判ツアーをまわっていくように普段の生活ではしることがない裁判の現場を紹介していく。法廷でのホントにあった面白いエピソードをコント風に、あるいはあきれた被告人に裁判官が本音を吐露するパート、通販番組風に検事がふろしき(風呂敷をよく利用しているらしい)を紹介するトリビア的なものなど、短い芝居を小気味よく切り替えていく。役者さんがある時は被告人、ある時は裁判官、ある時は検事と衣装を変えて出てくるところも楽しめる。

ところが、後半に入ってくると、徐々にシリアスに。
裁判で現れるのは、「犯罪」という非日常にいたる人生の極北。自分のもっている常識では処理できないようなできごとに直面することになる。

主役の2人組の中で、女性は自分の常識に疑いをいだかないし、深く考えることが苦手、他人の人生にかかわるにはある意味無責任な性格。それは、事件があるたびにテレビの前でジャッジしている私たちと変わらない。男の子は、知識はあるけど決断はできない。

傍聴を通して、二人は変わらざるを得なくなる(変わらなければいけない現実に直面する)。なぜなら裁判員制度がはじまっているからだ。

人を裁くこと、その重い責任を担うことが他人事ではないことうまく伝える作品になっていた。

作品Webサイト ここ


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